税金
相続税が課される遺産の評価額について
相続税が課税の対象になるのは、遺産の評価額が基礎控除の金額以下である時です。平成27年1月1日に基礎控除額の改正が行われ、改正前より4割も基礎控除額が引き下げられました。それによって実質的には増税となり、今まで課税対象でなかった方も課税対象者になる可能性が出てきたのです。以前は基礎控除額=5000万円+法定相続人数×1000万円でしたが、現在は基礎控除額=3000万円+法定相続人数×600万円となり相続税の税率も6段階から8段階に増え、最高税率もアップしています。
評価額が基礎控除を超えても相続税対策をしていくことで相続税を減らせますが、相続人同士の間で親の家の評価方法に違いがあることで争いに発展するケースも多く存在します。
知って得する!相続税を減らせる制度
相続税には「小規模宅地等の特例」という制度があります。これは遺産の中にこれまで住んでいた親の家やその他事業用に使われていた宅地などがある時には、それらの評価額を80%減額してもらえるという特例制度です。被相続人または被相続人と生計を共にしていた親族が居住用もしくは事業用として親の家を使用していること、その宅地の上に建物や構築物があることが条件となっています。相続税の申告期限(原則は相続後10ヶ月)までの間に相続人がその宅地を継続して利用している必要があり、また事業用とは小規模なアパート経営などを指しています。
この特例には面積の制限なども設けられていますが、地価の高い地域に宅地を持っている方などは相続税課税額を大幅に減額できます。場合によっては相続税額がゼロになる方もいるのですが、制度の適用を受けるのであれば相続税の申告手続きが必要です。
今からできる!相続税対策とは
相続をするからできる節税対策としては、「生前贈与」「相続時精算課税制度」などが挙げられます。生前贈与は年間110万円までなら被相続人から受け取る金額に贈与税がかからないという相続税対策で、被相続人が生きているうちにしかできません。誰からどんな贈与を受けようとも贈与税は基礎控除に含まれ、非課税枠となるのです。「毎年」「長期的に」「複数の人に行う」ことがポイントで、「毎年」「同じ相手に」「同じ金額の贈与をしていく」と税務署から指摘をされるので注意しましょう。
相続時精算課税制度は被相続人の生きているうちであれば2,500万円までは非課税で贈与可能な制度ですが、住宅取得資金等への適用であれば3,500万円まで非課税の贈与も可能です。
相続税対策で争いを減らせる!
基礎控除額の改正で基礎控除額が引き下げられることで、相続税の課税対象者が増えています。被相続人の生きている間に予め相続税対策をすることで、増えた相続人同士の争いを避けることもできるのです。
また「小規模宅地等の特例」といった制度を利用して適用を受けるなどで親の家の評価額を減額したり、「生前贈与」「相続時精算課税制度」による適切な節税対策をとったりしていきましょう。